简介
必殺シリーズの第25作、必殺仕事人シリーズの第6作、中村主水シリーズの第12作である。 概要 『必殺仕事人V』の続編であるが、VIを付さず、以後、必殺仕事人Vの派生作品として、3シリーズが製作されることになる。 前作『仕事人V』は京本政樹と村上弘明の加入で、女性視聴者を中心としたファミリー層からの人気を再度得て、第二次仕事人ブームを起こした。しかし、映画『必殺! ブラウン館の怪物たち』の撮影中に京本が右足を骨折したことで本作の撮影に支障をきたすようになり、全26話で終了した。 この時期の必殺シリーズとりわけ主水シリーズは人気絶頂期であったものの、その人気に依存し後期必殺シリーズ支持層のニーズに迎合しすぎる内容の番組作りを何年も続けた結果、ドラマ部分が空疎化かつマンネリ化しつつあった弊害は否めず、製作陣は主人公たちを昔のようなプロの殺し屋として描くハードボイルドな作風への原点回帰を目指す。その手始めとして『仕事人V』の次作で本作の前番組『必殺橋掛人』は、主人公に過去の必殺シリーズで個性的な悪人を演じてきた津川雅彦を起用し、ストイックな殺し屋ドラマ路線に立ち返った。なお、本作の新番組予告では前作『橋掛人』の柳次から本作の主水へとバトンタッチするシーンが披露された。 本作は放送開始前、テレビ情報誌『週刊テレビ番組』誌上で、本作プロデューサーの山内久司が「今の視聴者は再放送の『必殺』を観て、目が肥えている。今度の新シリーズは従来よりも、よりハードな作風にしたい(要約)」とコメントするなど、シリアス路線への意欲を見せていた。『新必殺仕置人』の寅の会を踏襲した組織「闇の会」や、念仏の鉄を投影した壱を登場させる[2]など、往年のシリーズを踏襲していた。殺しのシーンにおいてもその意向は顕著で、竜は仕事の際の化粧や衣装の派手さが前作より控え目になり、組紐による絞殺もより合理的に見える方法へと演出が変更された。政に至っては、花の枝で刺すという見た目の華やかさを重視した殺し方から、『必殺仕置人』の棺桶の錠を彷彿させる武骨な手槍での刺殺への変更と、技自体の改変が行われている。 だが、この方向性は第二次仕事人ブームを支持した層とは相容れず、『ザ・テレビジョン』などのテレビ情報誌には「今の必殺は冷たくなった。以前のように、頼み人と仕事人が直接絡むようなスタイルに戻してほしい」などの投書が掲載された。結果として、従来の仕事人シリーズ同様の、仕事人たちが人情がらみで事件に関わり恨みを晴らす路線へと戻すことになる。 キャラクター面は「はぐれ仕事人」として、正規メンバーではない仕事人が登場するという新しい要素を取り入れたが、3名のはぐれ仕事人のうち、壱が正規メンバーと変わらずに登場した反面、弐や参が登場するエピソードは少ない。 この作品の正式な続編ではないが、竜と壱、参の本作最終回以降の結末は劇場版『必殺! III 裏か表か』で描かれている。 あらすじ 江戸では奉行所による仕事人狩りの厳しさが増していた。仕事人狩りで捕まった、日本橋室町の元締 丁字屋半右衛門は処刑間際、旧知の主水に「仕事を二度としてはならぬ」と言い残して死んだ。主水は裏稼業を行うことを躊躇していた。竜、政、加代は江戸に戻り、政は鍛冶屋に職を変えていた。 加代は表稼業の何でも屋がうまくいかず、仕事人組織「闇の会」に顔を出し、五十両で北町奉行殺しの大仕事を請け負う。竜と政は仕事を承諾するが主水はこれを断り、結果として仕事は期日までに間に合わなかった。加代は「闇の会」の叱りを受けるも許しを得て、主水の協力も取り付け、仕事人チームを再結成するが、大仕事をするには数が足りない。 そこに、丁字屋半右衛門の配下であった、はぐれ仕事人の壱、弐、参が現れ、主水たちに手を貸す。主水たちは葬式に紛れ、北町奉行とその仲間たちに対する大仕事を完遂する。 かくして、はぐれ仕事人を加えた新しいチームが動き出した。 「闇の会」、はぐれ仕事人 「新・必殺仕置人#「寅の会」とそのシステム」も参照 本作は『新・必殺仕置人』に登場した「寅の会」を踏襲した一大組織が、裏稼業を全て仕切っている。本作は奉行所による大々的な仕事人狩りが行われていることに伴い、江戸で活動している殺しの斡旋業者(元締)は「闇の会」しか無いという設定である。そのため、元締を失った「はぐれ仕事人」は仕事を受けることができないという事態が発生し、壱らは主水グループに手を貸すという形で、金を得ようとする。 基本的なシステムは「寅の会」と同じで、それぞれの仕事人グループの代表者が集まり「値引き競り(ダッチ・オークション)」が行われ、最低金額を提示したグループが依頼を受ける。そして、期日までに殺しを行うという趣向である。逆に「寅の会」と異なるのは依頼人の面通しがあることで、代表者は依頼人の顔を知ることができる。依頼人が死亡した場合でも「寅の会」のように取り下げにはならず、依頼人の遺体や飼っていた動物が面通しに現れたことがある。 「寅の会」と比べると規律は緩く、談合なども普通に行われたが、「寅の会」と違い何故か主水らが依頼人になる事が出来ないシステムである。そのために17話では、依頼人無しで闇の会が開かれた。最初の仕事など、主水グループにかなり譲歩することも多い。作中では加代以外が落札したのは第10話のみで、基本的に物語に強く絡む要因では無かった。 最終回で、上方の外道仕事人たちに乗っ取られ、「闇の会」は壊滅するが、同名の殺しの斡旋組織はその後のスペシャル番組でも登場する。 スタッフ 制作 - 山内久司(朝日放送) プロデューサー - 辰野悦央(朝日放送)、櫻井洋三(松竹) 脚本 - 吉田剛、保利吉紀、石川孝人、篠崎好、宮崎晃、中原朗、田上雄、林千代、鶉野昭彦、足達りつこ 音楽 - 平尾昌晃 エンディングのクレジットは平尾の単独名義となっているが、新しく用意されたBGMの作曲に平尾は関与しておらず、出演者の京本と大谷和夫が手掛けている[22]。 監督 - 工藤栄一、松野宏軌、田中徳三、小原宏裕、津島勝、原田雄一、藤井克彦、水川淳三、都築一興 ナレーション 語り - 芥川隆行 作 - 山内久司 協力 - エクラン演技集団、新演技座 製作協力 - 京都映画撮影所(現・松竹撮影所) 制作 - 朝日放送、松竹 主題歌 主題歌 - 鮎川いずみ「女は海」[23](CBSソニー(現・ソニー・ミュージックレコーズ)) 作詞・作曲:京本政樹、編曲:京本政樹、大谷和夫 挿入歌 - 梅沢富美男「恋曼陀羅」[23](キングレコード)(第19話 - 第33話) 作詞:阿木燿子、作曲:宇崎竜童、編曲:柳田ヒロ